雨上がりの公園

エッセイ

雨上がりの公園に人が集まってきた。

僕は公園内で唯一、建物の中に立っている。

日差しが戻り、草の匂いが僕の鼻腔に届いた。

 

誰も乗っていないブランコ。

砂場に残されたピンク色のシャベル。

 

あちらの老夫婦はウォーキングを楽しんでいる。

水たまりに入ろうとする愛犬のリードを引く女性。

「つめたあ~い」と大声を出しながら滑り台を滑る子供。

ベンチに座ってコンビニ弁当を食べているスーツ姿のサラリーマン。

スマホを準備し、おそらく出現するであろう虹を撮影したい若者たち………。

 

春にはピンク色の桜が咲き、秋には燃えているような真っ赤な紅葉が散る。

 

何気ない、どこにでもある、秋の雨上がりの公園だ。

 

だけどこの光景を見るだけで僕の心は平穏になり、安らぎと癒しを覚える。

 

いつもはそうだ。

 

だけど、今の僕にそんな余裕はない。

 

ううぅッ………。

 

今の僕には時間が無いのだ!!!

 

「ガチャッ」と音がすると、個室のドアが開いた。

 

僕は急いで個室に入ると、カギをかけた。

 

何とか間に合ったwww

 

【了】






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