3.11…あれから僕は………

エッセイ

福島第一原子力発電所内にて3.11発生

あの日は朝から快晴だった。
浜通りはまだ寒く、春は遠くに感じた。

14時46分、地震発生。
体感としては、横揺れで震度3くらい。
僕は一応、作業員たちに声掛けをした。

次いで横揺れが縦揺れに変わった。
フロアから突き上げられるような衝撃を受けた。

すぐさま作業員たちと壁際に退避し、5人で肩を押さえながら揺れが収まるのを待った。

僕の鼓動はかなり早くなっていて、ずっと膝が震え続けている。

さらに揺れが強くなった。

すると、天井から何十年と体積していた、黒い塵が舞い降りてきた。
まるで黒い粉雪が降ってきたかのようだ。
だけど実際は粉雪ではなく、有害な塵なのだ。

僕は急いで右腕で口元を隠した。
本来、管理区域内ではNG行為だが、他に方法がないのだ。
マスクや紙ペーパーを取りにいける状況ではない。
5人で身を寄せ合って、立っているだけで精一杯なのだ。

揺れと共に突然、目の前が真っ暗になった。
停電だ。
完全に視界を奪われた僕たちは、もはや万事休す。

続けて火災報知器が鳴り出した。
揺れ続ける轟音に負けじと、あの「ジリリリ」と必死にないている。

原発はコンクリートで覆われた要塞。
ここは3階のフロア。
飛び降りる事もできない。
その前に、原発には窓すら無いのだ。

信じられないかも知れないが、ここからさらに揺れが強くなったのだ。

すでに2分以上揺れ続けている。

もうダメだ………。

僕はみんなの輪の中から離れた。

 

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心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 

「了」

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