アサギマダラとみのりさん

フォト

軽井沢で仕事中に出会いました

黄昏時、僕の携帯電話が鳴った。
「いまどこ? 来たよ♪」
女性社員からの一言。
「すぐに行きます」
秋の夕陽に照らされながら、僕は軽自動車を走らせた。

みのりさんが手招きをしている。
うすいピンク色のシャツに、ジーンズを履いているみのりさん。
とにかく足が長い。

「静かにね」

僕は忍び足で近づきました。

 


ついに出会えたアサギマダラ☆ 秋の七草のひとつであるフジバカマの蜜に夢中になっている!

 

これがアサギマダラか………。

綺麗でしょ?
美しいでしょ?
鮮やかでしょ?

実は社外新聞のエッセイを担当することになった僕は、
何を書こうかと先輩と考えている時に、アサギマダラの話題になったのです。

それを聞きつけたみのりさんが「昨日見たよ」と、サラッと言ったのです。

まさか翌日にもアサギマダラが遊びに来てくれるとは、思いもしませんでした。
僕はこの時、アサギマダラに運命を感じたのです。

「どう? カッコいいでしょ?」

みのりさんが小声で言った。

「ですね。美しいです」

「フジバカマの蜜を吸うのは、ほとんどがオスなの」

言い終えたみのりさんは、髪をかきあげた。

「そ、そうなんですね」

僕はみのりさんのしぐさを拝見し、美しいという言葉を飲み込んだ。

 

アサギマダラはどこからやってきたのか

長距離を飛翔するアサギマダラ。
アサギマダラはマダラチョウ科の仲間で、
翅を広げると10センチほどの大きさになるらしい。
だけど僕は15センチと推定した。

 


ゆっくりと優雅に蜜を吸うアサギマダラは本当に美しい! まさか蝶々を好きになるなんて…ww

 

さらに移動距離が2000キロを超える事もあるらしい。
すごくない?
要は海を越えてくるわけだから。

そうすると、台風と一緒に飛んでこないと、
15センチ程度のチョウチョが2000キロを旅するなんて
あり得ないですよね。

ってか、よく翅がもげないなと感心します。

僕の横では、みのりさんがスマートフォンを取り出し、撮影を始めました。
僕より背が高く腕も長いみのりさんは、全身を上手に使いながら、
様々な角度から撮影をしています。

僕もスマートフォンを取り出し、撮影を開始。

「落ちないでよ」

「は、はいっ」

アサギマダラに夢中になって湖に落ちてしまっては、
孫の代まで笑われることでしょう。

夕陽に透けるアサギマダラ

撮影をすること15分。
アサギマダラは逃げることなく、ずっとフジバカマを行き来している。
これは凄い。
他の蝶々も飛んでいるけど、もはや眼中にありません。

だけど、僕のスマートフォンの電池が20パーセントを切ってしまった。

「まだ見たいの?」

庭師のみのりさんは事務所に戻りたい時刻。
僕も仕事の途中。
だけどこれは社外新聞のエッセイを書くための材料であり、その為の取材なのだ。

「あと5分だけ」
僕のお願いに、みのりさんは微笑んでくれました。

みのりさんを撮影しようかな………。

いかんイカン。

目的が外れている。
しっかりしろ。
蛸。

夕陽がアサギマダラの翅を透過した。

 

言葉が必要ない時間って本当にあるのだと実感した1枚☆ 時間が止まったらこんな感じかと…。

 

みのりさんもじっとアサギマダラと夕陽を見ている。

僕はアサギマダラとみのりさんを交互に見ている。

阿保です。

だけど、たった1匹のチョウチョに、ここまで感動させられるとは
正直、思いませんでした。

そこに夕陽も合わさって、本当に最高な時間を過ごせています。
これは絶対に社外新聞を成功させようと僕は心に誓いました。

夕陽が落ちると同時に、アサギマダラはふわっと飛んで行きました。
ありがとう、アサギマダラ。

君はナイス・ガイだったぞ!!!

 

いい大人のためのラブレター【シカケテガミ】

正門を施錠しているみのりさんに、僕は言った。

「今日はありがとうございました」

こちらに振り返ったみのりさん。

「これで駄文は書かずに済みそうね。お疲れ様」

みのりさんの一言に、僕は確かに顔が火照るのを感じました。

その後、僕も事務所に戻りました。
日報を書き終えた僕は、すぐに退勤しました。

ルンルン気分で帰宅した僕は、シャワーを浴びました。

私服に着替えると、歩いて居酒屋に向かいました。
日が落ちた軽井沢の夜は、かなり寒いです。

個室に入った僕は、大きく深呼吸をしました。

アサギマダラとみのりさんを回顧しながら一杯!

うまいウマイ美味い!!!

 

     カサゴのから揚げと冷酒! 美味しく頂きました☆☆☆ 本当は焼鳥で十分なんですけどねwww

 

後日、社外新聞が完成しました。

さらに後日、3人のお客様からお褒めのお言葉を頂戴しました。
もちろん、エッセイも良かったですと。

嬉しさのあまり、僕は先輩とハグをしました。

ただし………みのりさんからは合格点がもらえませんでした。

なんで?

キビシイィィ………。

 

【了】
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《夏タン 夏に読みたい短編小説  題名:アサギマダラ》
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