野平誠の休日 ☆みんな喰らってる?☆

エッセイ

野平の休日は飯三昧

野平の起床時間は平日と変わらない。
7時に起床し、枕元に置いてある2リットルの水で胃を洗浄後、トイレに直行。
歯磨き後はリビングのソファーに座ってぼーっとする。
テレビもつけず、スマホも見ず、本当にただぼーっとする。
たまに右の尻を浮かせてオナラをするくらい。
基本、野平は何もしたくないのである。

 

本日の朝食

8時55分。
野平はアパートを出た。
野平は赤色のベイスボールキャップを被り、
黒色のパーカーに青色ジーンズと雪駄の組み合わせ。
野平は靴が嫌いで、休日は季節、天候を問わず雪駄を履いている。
目的地の店に到着した時、野平は大汗をかいていた。
マスクが濡れていて窒息しそうになる。
まだ2月の中旬だと言うのに………。
店内に客はおらず貸切状態。
カウンター席に着くと同時に、野平はメニュー表の真ん中に人差し指を置いた。

 

かつ丼&ラーメンセット(魚の煮つけ、お新香つき)1200円+税

9時から営業をしている中華料理店。
野平の一日はここから始まる。
まずはラーメンを喰らった。
鶏ガラスープに麺が絡み、自家製のしなちくが美味。

次いでかつ丼を喰らう。
「うまいなあ」
野平の感想が店内を駆け巡った。
かつ丼を超える丼物が他にあるのだろうか。
うな重?………。
いやっ。今やうな重は3000円はする。
かつ丼は高くても1500円で収まる。
つまり3000円のかつ丼を作ったら、あなたはどちらを食べたいですか?
勿論、かつ丼でしょう。
至極当然なのであります。

野平はラーメンのスープを味噌汁がわりにして飲む。
味噌汁を世界三大スープに押し上げたいと野平は常々思っている。
思っているだけで何も行動はしてはいない。
食べる事以外、本当に何もしたくないのだ。
10分で完食した。
「ごっ、ごちそうさまでした」
一人暮らしの野平にとって、休日の第一声は必ず痰が絡んでしまうのであった。

 

 

本日の昼食

公園のベンチでワンカップ酒をあおる野平。
野平にとって、ワンカップ酒は水分補給なのだ。
「どれ………そろそろ行きますか」
独り言を発した野平はゆっくりと腰をあげた。
そしてまた暖簾をくぐった。

 

ざるそば&天丼セット(ポテサラ、お新香、味噌汁つき)1500円+税

11時30分の開店と同時に入店。
こちらもまた貸切状態。
野平は入口から一番近いカウンター席に座った。

厨房にいる大将と目が合った。
大将が舌打ちをした。
野平はお冷を口に運んだ。
「はいよ~」
大将のだみ声と共にやってきました、ざるそば&天丼セット。
野平は早速そばを喰らった。
「ズズズズズッ」
「うるせえなぁ」
大将に怒られた。
でも大将が半笑いをしているのを僕は知っている。
だから気にしないし、何より本当にこのざるそばは美味なんだ。

それと、この天丼だよ。
サクサクの衣とエビちゃんとナスくんが相性抜群なんだもん。
タレの染みたご飯なんて、もはやワールドクラスですよ。
野平は5口で天丼を平らげた。
この店に通い続けておよそ1年になる。
いつも変わらないこの美味しさに、野平は改めて脱帽した。
「た、大将、今日もごちそうさま」
「ごちそうさまでした、だろ? 偉くなったもんだな」
「ふぇっ」
大将のツッコミに野平の声は裏返ってしまった。

 



 

15時の間食

健康ランドを利用した野平は、健康になった。
と言ってもマッサージチェアに寝ていただけだ。
体重3桁の野平は駅から徒歩1分のアパートに住んでいる。
よって歩ける範囲内に飲食店が数多あるけど、この時間帯はチェーン店しか
営業していないのが、野平にとっては残念無念なのだ。
「よし、いこう」
野平は本日4本目のワンカップ酒をゴミ箱に捨てた。

 

チャーハン&ラーメン1100円+税

15時だというのに店内は若者たちでにぎわっていた。
野平は一番奥のカウンター席に座ったと同時にベルを押した。

わずか5分で品が到着した。
チャーハン&ラーメン。
「やっぱりチャーハンだよね。いただきます」
野平は感謝の言葉を発すると、チャーハンを喰らった。
今日もパラパラのチャーハンに安堵した野平。

先々週のチャーハンは柔らかくて味も薄かったし、
会計時に野平が財布から小銭を出していると、
女性店員が早くしろと言わんばかりに野平を睨んできたのである。
野平は店長を呼ぼうとして、我慢した。
なぜ我慢したのかと言うと、嫌なこと理不尽な出来事が発生した場合、
怒ったりやり返すのではなく、グッと我慢することで野平曰く、
不幸貯金というのが1個貯まるらしい。
これを貯めていく事で、必ず良いことが自分に返ってくるのだそうだ。

その翌日の夕方、野平はお肉屋さんでハムカツ5個を購入した際、
店員のおばさんが唐揚げ2個をサービスしてくれたのだ。
これは絶対に不幸貯金をした結果だと野平は信じている。

気づけばチャーハンしか食べていなかった。
「ごめんね、ラーメン殿」
野平はラーメンに軽く首を垂れると、一気に流し込んだ。
完食した野平は、店内をざっと見渡して思った。
おしゃべりもいいけど、みんな喰らってる?

 

ふるさとプレミアム

 

18時、夕食のお時間です

15時の間食後、野平は自宅アパートに帰って寝た。
「もうこんな時間か」
野平は独り言を発するとトイレに直行した。
歯磨きは面倒なのでマウスウオッシュで口臭対策完了。
マスクとエコバッグを持って再び外出した。

外はすでに宵闇に包まれている。
駅前を歩いていると警備員が立っていた。
「はあ………明日からまた仕事か」
そう、野平も警備員の仕事をしている。
休日は基本的に週1日。
後はGWで10日間、お盆で14日間、年末年始で20日間の休日がもらえる。
年間休日92日、基本給18万円。
36歳、独身の野平にとって、厳しい数字である。

「考えるのはやめよう」
野平は大きく深呼吸をした。

 

カツカレー(サラダつき)1200円+税

野平の夕食はカレーと相場が決まっている。
カウンター席に座った野平は、「カツカレー」と叫んだ。
店内は家族連れが多く、ほぼ満席になっていた。

「暑い」
野平はパーカーを脱ごうとしてやめた。
脱げば天国、半袖のTシャツになれるけど、
2月の店内でTシャツ姿でカツカレーを喰らうわけにはいくまい。
白い目で見られるに決まっている。

カツカレーがやってきた。
「あっという間の1日でした。いただきます」
野平はカツカレーを喰らった。
3分で平らげると、急いで会計を済ませ店内を後にした。

野平はゆっくりと涼みながらスーパーマーケットに向かった。



帰宅後寝るまでのルーティーン

19時、スーパーマーケットから帰宅後、リビングのソファーで仮眠。
20時、起床後、トイレに直行。洗濯機を回してから風呂に入る。
ちなみに野平は年間を通してシャワーを浴びるだけ。
20時30分、ソファーに座ってぼーっとする。
21時30分、冷蔵庫から食材を取り出す(夜食)
22時、夜食を喰らう。

 


きりたんぽ鍋(鶏肉、ごぼう、ほうれん草、ニンジン、しらたき、葱等)

野平は冷蔵庫から缶ビールを取り出すと、グイッと飲んだ。

「やっぱ冬はきりたんぽだよね? いただきます」

野平はおよそ3人前のきりたんぽを喰らった。

20分後、野平はうどん3玉を投入した。

そしてスープまで平らげた。

滝のような汗を流しながら、野平はそのまま寝た。

 

 

本日の野平の出費は以下の通り。
・外食4店舗:5480円。
・ワンカップ酒220円×4本:880円
・健康ランド:2000円
・きりたんぽ鍋の食材:1800円
・うどん3玉:330円
・缶ビール6本パック:1200円
・合計:11690円

 

野平は今日1日で9500カロリーを摂取した。

翌朝、野平は両足の痛風が爆発して動けず会社を休むことになった。

 

「了」


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